DIDO&AENEASの思い出 2
引き続き、2019年5月6日開催オペラ「ダイドーとエネアス」公演の詳細をご報告します。
オペラを陰で支える裏方のメンバーを先にご紹介しましたが、やはりなんといってもステージに立つ歌い手たちの活躍ぶりには目を見張るものがありました。
服毒して自殺を図るというクライマックスシーンで歌われるアリア「When I Am Laid in Earth」を歌い終え、徐々に倒れるダイドーを演じる安田さん。
ダイドー/ 安田裕美さん
このオペラはもちろん英語のオリジナルで全て歌われましたが、台本には日本語のセリフが加筆されています。ダイドーは主役ですし、重要なセリフも多く、安田さん演じるダイドーは品のある語り口と、その艶やかな歌声で、充分にお客様にダイドーの哀しさと美しさをアピールしました。ブラボー!!
ダイドー/安田裕美さん & エネアス/渡辺洋輔さん
エネアス役/ 渡辺洋輔さん
カルタゴの王子としての凛々しさと、素晴らしい声量、艶やかな歌声に聞き惚れてしまいました。男性としてちょっと物足りなさも残る王子という役どころでしたが、渡辺さんのエネアスはそれを補う魅力がありました。
こういった素晴らしい歌い手が存在する富山県。改めて渡辺洋輔さんを誇りに感じました。これからますます
活躍が期待されます。
第二幕森の中のシーン
そして、ベリンダ/ 森下泉さん
ベリンダ役の森下泉さんはとにかく明るい方で、稽古の時も本番もいつも笑顔が素敵な方でした。そしていろいろなダメ出しにもめげずに前向きに学ぶ姿勢が周囲によい影響を与えたことは確かです。この方のおかげで楽しく乗り切れたといっても過言ではありません。幕開けとともに放たれる「ジェローナ、一体なにをしているの!」の決め台詞。かっこよく決まりました。森下泉さんの抜けるような明るい歌声は暗い結末を迎えるこのオペラにさす一条の光のように感じました。
第1幕「The greatest blessing Fate can give」を歌う、ベリンダ/森下泉さん(左側)
ベリンダ/ 森下泉さん & ジェローナ/ 浜田智美さん
ジェローナ/ 浜田智美さん
オリジナルでは「第2の女」とだけあり、そのキャラクターが掴みづらいのですが、牧野正人氏の台本では悲劇へと導く大切な役どころとなり、「ジェローナ」という名前が与えられました。浜田智美さんの素晴らしい演技力にみな脱帽でした。浜田さんの小さな動きも蔑ろにせず演出助手の室田さんに食いつくように稽古をしていた姿を忘れることができません。この役は今でも浜田智美さんでしかできなかったと思うのです。
第2幕「Spirit of the Sorceress, in likeness of the Mercury」を歌う浜田智美さん(左)
真っ暗なステージにコツコツと杖の音を響かせながら登場したのは牧野正人氏演じるロバーバ(魔法使い)です。
とにかく、もしかしたら牧野正人氏は本当はおばあさん?だったのか、と思えるほどのなりきりぶりに、そして第二幕で歌われた「The Queen of Carthage, whom we hate」の圧倒的な声量と発音の歯切れ良さに会場のお客様は氏に釘付けになってしまいました。
幕開けでの一人語りは会場の空気を一瞬にして捉え、会場がふっと漏らした笑い声に私たちの緊張が一気に緩みました。
この後出演者たちは信じられないほどの集中力を発揮し、最高の舞台となりました。
第二幕魔女の洞窟シーン。高らかに歌い上げる牧野正人氏演じる魔女ロバーバ。
ロバーバ(魔法使い)の手下、フリンケ(第一の魔女)、フランカ(第2の魔女)
フリンケ(第一の魔女)/谷口琴音さん & フランカ(第2の魔女)/高信由記子さん
ロバーバと共に毒薬作りに精を出すフランカ/高信由記子さん(左)と フリンケ/谷口琴音さん(右)
カーテンコールでポーズを決めるお二人
そして、ヴォーカルアンサンブル30の12名
テノール石丸充さんは水夫の役として独唱もし、その熱唱は大喝采を浴びました。
第3幕カルタゴの港シーンで水夫役として熱唱するヴォーカルアンサンブル30メンバー
左から井内学さん、上田慎一さん、石丸充さん、市橋健さん、中村元保さん
ヴォーカルアンサンブル30はこのオペラでパントマイムもあり、ダンスもあり、そしてもちろん合唱もありで本来の合唱活動では得ることのできない体験をたくさんしました。多くの学びを得ました。ステージ中央で活躍する歌い手たちのを常に後ろ側で支えることができたのもヴォーカルアンサンブル30メンバーの熱意と実力があったからこそだと今更ながらに思います。
カーテンコールに応えるヴォーカルアンサンブル30メンバー(左から)
中村元保さん、市橋健さん、井内学さん、津田玉美さん、竹口洋子さん、菅順子さん、八十島由美子さん、永澤美保さん、水島成子さん、水落佐知子さん、石丸充さん、上田慎一さん